渡英したての頃。初めて参加したのが、現地の教会で主催されていたプレイグループ。まだ歩けない赤ちゃんを連れて行った先の光景にびっくりし、心が折れそうになったのを鮮明に覚えています。(ロンドンで育児を楽しむコツ~日本式の「衛生観念」を捨てよう~Messy Play@チルドレンセンター編はこちら)
まず初めに子どもと自分の名前、住所、緊急連絡先などを書き込んで利用登録。一回当たりの利用料3£払って中に入った先は、教会の中。ひんやりと冷たい石の床に置かれた様々なおもちゃたち。
絵具や粘土、工作などができるクラフトコーナーあり、ブロックや積み木、車のおもちゃ、電車のおもちゃ、お人形、パズル、絵本、電子音の出るおもちゃetc様々ありましたが、赤ちゃん用と思われるエリアには一(薄汚れた・・失礼!)マットがしかれ、その上に(古ぼけた・・これまた失礼!)ソフトトイが散らばっていたのでした。
マットの上を土足で歩かないように気を付けるのは、親のみ。赤ちゃんエリアといっても仕切られているわけではありませんので、赤ちゃんが転がっているマットの脇をお構いなしに土足のままのしのしと歩きまわる現地の子どもたち。そもそも、土足文化なので気にしない?いやいや、教会に来る前に公園のどろどろの芝生の上を歩いてきた子もいるよね、犬の糞を踏んでいる可能性もあるよね?と思うと、マットの上に赤ちゃんをおくという行為ができず、プレイグループ中、私はわが子を終始抱っこしていたのでした。
他の赤ちゃんたちは、マットの上で寝転がっていたり、お座りやハイハイできる子は、おもちゃを自由に嘗め回し、だいたんな子は口にいれながら遊んでいます。ママさんたちも非常におおらか(?)慌てるでもなく見守っていたり、他のママさんとのおしゃべりに興じています。わたしはといえばわが子に付きっ切りで、なめたものを律儀に拭いてから戻していましたが、誰もそのようなことはしていないということに気づき、愕然としたのでした。
こうして1時間ちょっとフリーに遊んだ後は、お片付け。子どもたちが嘗め回したり、土足で歩き回ったマットはそのまま収納されます。ここでもちょっともやもや・・・これをこのまま次回使うのよね。むしろ、この状態でずっと運営してきているのよね。。
そしてお待ちかね(?)のスナックタイム。好きな席に座ってよく、親にはビスケットやチョコレート+コーヒーor紅茶がふるまわれ、子どもたちは持参したおやつを食べて休憩。「新しくきたの?どこから?」「お子さんは何歳?」「子どもの吸収力はすごいから、必ずバイリンガルになるわよ~」などと新参者にやさしく話しかけてくれる現地ママさんにちょっと救われたのでした。
最後に、おばあちゃんによる手遊び歌。これが完全にアカペラで行われるのですが、声が小さくて聞き取りにくく、何より音程があっていないというダブルパンチ。歌詞も分からないわ、振り付けも分からないわで、一緒に声を出して歌っている周りのママさんたちの中でひっそりと気配を消す私。
日本人として日本の中で暮らす上では細かいことは気にせず、ずぼら・大雑把な人間であると自負していた私(他者評価も同じく)ですが、そんな私をもってすら、初めて訪れたプレイグループで目の前に広がる光景は衛生的な観点から受け入れがたく、寒い時期だったというのに暖房もきいていない教会の中、石の床の冷たさもあって、まさかこんなところで育児をしていくことになろうとは・・・と無性に心細くなり、心が折れそうになったのでした。
それからしばらくは、理想の場所を求めてあちこちのプレイグループ巡りをしたのですが、施設自体のきれいさ、スナックタイムの充実度(フルーツがでたり、子どもむけお菓子がでたり)、歌のうまい下手(こちらの方は音痴率が高いような気がします・・)、おもちゃのきれいさや量、といった部分に差はあれど、こと衛生観念にいたっては内容はどこも同じレベルでした。その結論に至るまで、数か月かかってしまったのですが、当時を振り返ると勿体なかったなぁ、早くから受け入れて楽しんでしまえば良かったなぁと思います。
これからロンドンで育児をされる方、「郷に入りては郷に従え」というわけで、日本式の「衛生観念」は捨て、ぜっかくの海外育児をたくさん楽しんでくださいね。とはいえ。もちろん、日本に帰った場合はその意識を取り戻すことをお忘れなきように。